保育士の職務経歴書の書き方

ここでは、保育士の職務経歴書の書き方を解説します。
まずは職務経歴書を書く目的を把握しよう
職務経歴書は、人事担当者が「採用後にあなたが期待どおりのパフォーマンスを発揮できるかどうか」を確認するために存在します。
つまり、職務経歴書は「私は求められる働きをする人間です」ということを証明するための資料ということになります。
「書きたいことを書く」のではなく、目的を踏まえて書くことを意識してください。
そもそも保育所とは?
そもそも保育所とは、どんな施設なのでしょうか?
厚生労働省の保育所保育指針によると、「保育所は、保育を必要とする子どもの保育を行い、その健全な心身の発達を図ることを目的とする児童福祉施設」とされています。
そして、「保育の目標」として以下の内容が挙げられています。
- 十分に養護の行き届いた環境の下に、くつろいだ雰囲気の中で子どもの様々な欲求を満たし、生命の保持及び情緒の安定を図ること。
- 健康、安全など生活に必要な基本的な習慣や態度を養い、心身の健康の基礎を培うこと。
- 人との関わりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとともに、自主、自立及び協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培うこと。
- 生命、自然及び社会の事象についての興味や関心を育て、それらに対する豊かな心情や思考力の芽生えを培うこと。
- 生活の中で、言葉への興味や関心を育て、話したり、聞いたり、相手の話を理解しようとするなど、言葉の豊かさを養うこと。
- 様々な体験を通して、豊かな感性や表現力を育み、創造性の芽生えを培うこと。
すべての保育所は、保育所の定義および目標の実現のために運営されており、その実現のために保育士を募集しています。
「保育の目標」に基づいてこれまで保育士として働いてきたことを職務経歴書に書くことで採用が期待できます。
- 記載例
「人との関わりの中で、人に対する愛情と信頼感、そして人権を大切にする心を育てるとともに、自主、自立及び協調の態度を養い、道徳性の芽生えを培うこと」の実現のために意識してきたことがあります。
「子供が嬉しい、悲しい、怒っているなどの感情を表現した際に、その感情を否定せずに受け入れる姿勢を示す」ことを念頭に行動してきました。
しかし、意識をしていても、一人の個人として体調が悪いとき、なんらかの原因で晴れやかな気持ちでないときは、感情的になりそうなことがあることは理解していました。
一時は、保育士に向いていないのかもと落ち込むことがありましたが、「だれでも常に感情を一定に保つことは難しい」と考えるようになりました。どんな立派な保育士だってそうなんじゃないかと。
だから、良くない精神状態のときは仲間の保育士同士で助け合える関係を構築することに時間を費やしました。
そうすることで、園児には常に同じ状況で接することができるようになりました。
応募先の保育所の理念を理解しよう
「保育の目標」のための手段は、保育所によってさまざまです。
たとえば、こういう考えをもった保育所があります。
発達段階に応じた国語教育が必要だと考えている
なぜなら読み書きの基礎というばかりでなく、思考そのものと深く関わってくるからである
国語は、誠実、慈愛、公正、勇気、正義、忍耐、礼節、惻隠の情、卑怯を憎む心、もののあわれ、何を美しいと感じるかなどを学んでいく起点である
体育や音楽などの教育も重要ではあるが、「一つだけ選べ」となると国語が最重要科目と考えている
だから国語の教育を重視している
この保育園に対して「元気いっぱいに子どもが遊ぶことができる環境構築を意識してきた」という職務経歴書を送ると、どう受け止められるでしょうか。
厚生労働省の保育所保育指針とともに、各保育園が掲げる考え、理念に即した職務経歴書を書くことを意識しましょう。
よくある「職務経歴書の書き方」の誤った例
「保育士 職務経歴書の書き方」で検索すると、多数のページがHITします。
その中から誤ったアドバイスの例を挙げてみます。
- 経験した業務内容は箇条書きで書く
- 少しでも経験した職務内容はすべて記入する
- 自己PRは文章の場合はだいたい4~5文でまとめ、全体の文字数は300文字程度を目安にする
これらは、「保育所保育指針」「各保育園が掲げる理念」を踏まえたものではなく、形式的なアドバイスです。
場合によっては、長文でアピールするほうが「なるほど。求める人材像だ」と思ってもらえるかもしれません。
書き方に迷ったら、「保育所保育指針」「各保育園が掲げる理念」を踏まえたアドバイスを参考にすることをお勧めします。